まいど、パパ寿郎です。
今日は、ここ数年の研修や経験の中で、「極めて重要」と思いつつ、会社では実行されていないケースが多いと感じている原則をシェアしたいと思います。
三面等価の原則
一般的には生産(付加価値)、分配(所得)、支出(需要)が一致するというマクロ経済学上の原則かと思いますが、ここでは違います。
組織運営の4原則 という考え方があり、権限の委譲の原則に分類される考え方です。4つを紹介すると
- 指令系統統一の原則
- 統制の限界の原則
- 役割認識の統合の原則
- 権限の委譲の原則
です。3までは議論されるケースが多いと思いますが、権限の委譲の原則こそがサラリーマンが意欲的に働けて、担当者が能動的になる為に重要な原則、と考えています。
権限移譲の三面等価とは「職務」が拡大すれば「責任」と「権限」も同じ量拡大する、という考え方です。営業においては、重要顧客を担当していたり新規開発をリードする人間には「権限=お金」を委譲、するという意味で読み替えられます。一般的に日本の会社では、「職務」と「責任(感)」は増えるが、「権限」は従来のまま、というケースが多いのではないでしょうか。これは、意外と上層部でも同じでビジネスのサイズと与えられている「権限」の大きさが比例していない、という風に感じています。具体的には年間利益1億円の課長の決裁権は50万円しかない、みたいなイメージです。また、一般的にこの原則は役職に紐づいていますが、本来現場の最前線で仕事をする担当者にこそ必要な原則ではないか、と考えます。
この考え方のポイント
尚、僕自身がこの原則で面白いと感じたのは、上記前提を理解した上で、担当者が自ら「職務」に比例した「権限」を勝ち取りに行く、という事です。本来的には与えられるべきかと思いますが、この原則が成り立っていない前提に立って上司に掛け合う事です。もちろんその分「責任」も増えますが、担当者が権限の範囲内で、自由にお金を使え都度上司確認及び資料作り、説明、関係者への根回しといった仕事が取り除かれるからです。そもそも権限移譲の原則は人は誰でも自分の考えに従って行動したいという自己支配の原則が根底にあります。昔、自分の仕事でとても違和感を覚えていて、この原則を知った時に腹落ちした事を鮮明に覚えています。この時の腹落ちは、権限を獲得できた事ではなく違和感の正体が言語化された為です。「新しい開発を進めろ、でも開発費用は出来るだけ使うな。」と定性的に言われるケースは意外と多いのではないでしょうか。いや、でもそれはおかしいでしょ、と。でも、おかしいでしょ、で終わらせずに「この開発にはこの位は最低費用がかかるので、○○の期間、最低この金額の中でやらせて欲しい」と一歩踏み込み、権限を獲得しにいく、という流れです。もちろん上司との信頼関係も重要になってきますけどね。。。
昔、ドラッガーの「マネジメント」という本を読んだ時に、VISION、戦略、組織、権限移譲、成果の順に重要である、という事が書かれていて、その時には権限移譲のイメージが湧かなかったですが、三面等価の原則を知って、一連の内容が繋がりました。
これは、過去に書いた以下記事に通じるところがあります。何かを得たいときは先に何かを差し出す必要があるのですが、権限がないと4資源「人・物・金・情報」の内、自分と情報を差し出す事しか出来ません。ビジネス上、それで成り立つのであれば良いわけですが、そうではない事が多いです。もちろん、我々はメーカーなのでお金を渡す、という事ではなく先にお金を使って提案できるものを準備する、という意味です。
もちろん、自分の上司の権限を超えたものは獲得出来ませんし、予算という枠組みの中でまずは戦っていく事にはなります。しかし、自組織のお財布事情を知って、この考えを持って上司と接し自分の仕事を組み立てていく事は重要です。小さい単位ですが、権限を与えられる事で経営感覚を持って進める事が出来るようになります。
また、事前にお金を投下する訳ですので、実際のリターンについてもジャッジできる為、ただ顧客に言われた対応をするのではなく、未来に向けた投資をしているとも言い換えられます。小さくてもこのような経験を繰り返して行く事が、サラリーマンとして働く事の醍醐味なのかもしれません。やはり、一個人でビジネスをスタートするよりも大きなお金は使える訳ですから。
まとめ
今日は組織運営の中で僕が重要と考える「三面等価の原則」について紹介しました。自分の職務、責任と権限があっていなければ、権限を勝ち取りに行くことも我々の仕事と言えます。権限を獲得するためには上司への説明やコミュニケーションはもちろん必要ですが、それは自分の仕事をスムーズに進める為の必要コストと思います。このコストは、結果ビジネスチャンスを拡大させる事に繋がるのではないでしょうか。
この記事を読んで、少しでも参考になれば嬉しいです。
ほなまた。