リベラルアーツ

飛行機人間になって飛び立とう

まいど、パパ寿郎です。

これまで、「思考の整理学」から思考を進めるためのステップとして、①情報・着想を集めて寝かせる、②忘れる・捨てる、③思考する方法をシェアしてきました。最後に本書が目指す、飛行機人間(知的活動)を目指す意味を紹介し、学びを終えたいと思います。

これからの知的活動

これまで書いて来たように、これまでの学校教育は「答えがある前提」かつ「教えてもらう」というものでした。改めて、これまでの知的活動とこれから必要な知的活動について整理しています。

これまでの知的活動(グライダー型):記憶、再生

これからの知的活動(飛行機型):創造性、人間らしく生きていくこと

過去において記憶と再生は人間にしかできないと考えられてきたから価値があったわけです。そしてこれがコンピューターの出現によって変わったのです。強制的にゲームのルールが変わったわけです。このゲームチェンジによって、「知ること」中心から「考える」中心に変わって行かなければいけないということです。完璧に記憶と再生が可能なコンピューターにこれまでのコンピューター型人間が勝つことは出来ません。

そして、この機械が人間を排除するのは歴史の必然です。労働と機械の関係は以下図の通りです。本書はコンピューターの出現により、ひとりひとりの頭の働きをどう考えるのか、思考とは何か、創造的思考の必要性が高まっていることを指摘しています。人間にしか出来ない仕事は何か、これはグライダー人間では出来ない思考です。

既に40年前から今もある議論への問題提起がなされている訳です。現在は従来のコンピューターに加え機械学習によって成長するAIにより、更にこれからの知的活動は変化、高度化する必要があります。一方で、今でも上記への変換が出来てない要素が残っているのもまた事実です。

最後に知的活動をしていく上で、具体的な二つの記述が参考になりますので紹介します。

既知・未知への取り組み

一つ目は「既知・未知への取り組み」です。知的活動には3種類を分けて考える必要があり、読むことを具体例として書かれています。

  1. 既知のことを再認する → 経験や知識とよく似た知識を得ること(わかること)
  2. 未知のことを理解する → 既知の延長線上の未知の世界への導入(解釈)
  3. 全く新しい世界に挑戦する → まったく未知に挑むこと(挑戦)

①と②、③(③は②を含む)は全く意味が異なる。しかし、①と②の違いが意識されないことが大半である。そして学校教育は①で終わることがほとんどである。もちろん、①がベースになることは正しいが、①の量を増やしても、②が出来るようになるわけではない。②は①の知って、理解したあと自分なりの”解釈”が必要。どこまで既知の延長線上の未知を捉えるか、想像力と飛翔によって発見があったか。未知を知る方法が知的活動の前提とするならば、②の読みは必須である。と述べられています。

本書の言葉を借りれば①はグライダー型読書、②は飛行型的読書ということになります。

僕自身これまでそれなりに本は読んできたつもりですが、全く意識したことはなかったですし、何となく読んで分かったつもりになって終わっていました。解釈の時点で人それぞれ異なるため、この自分の解釈が何なのか、を見つめる必要があると思います。

拡散と収斂

次に「拡散と収斂」です。本書では人間は本来強い拡散作用を備えていると指摘します。

拡散的作用:与えられた情報を改変、脱出しようとすること

収斂的作用:バラバラになっているものを関係づけ、まとまりに整理しようとすること

拡散的作用のメリットは自分の考え(個性)が出る一方で、デメリットは当面は焦点から飛び散ってまとまりがないことがあげられます。対象的なものが収斂的作用で、メリットは線やシステムによって焦点方向にまとまっていくこと、デメリットは答えのない問題に手も足もでない、ことです。正に学校教育は焦点(目標・答え)に向かって全てを結合していく場、収斂能力だけを磨く場所になっていると述べられています。また、拡散能力も一見飛び散っているように思えるが、多くの点を取ると行き着く先は収斂である、とのこと。

これも拡散が飛行機、収斂がグライダーと読み替えられます。

これまで書いてきた、情報・着想を集めること、それらを時間をかけて寝かせること、思考によって純化していくこと、これが正に一旦拡散させて→収斂していく、というステップに等しいと言えます。今自分がどの作用で考えているか、を整理する上でも重要な考え方と思います。

まとめ

今回は本書の最後のまとめとして今後何故飛行機人間が必要なのか、未知への挑戦、人間の作用について紹介しました。

今回を含め合計7回にわたって「思考の整理学」から重要と思われる個所を抜き出して紹介してきました。書いていて至らない部分も多くありますが、ここまで一冊の本から学ぶことが多い本に中々出会う事もないと思います。本書によって、僕のこれまでの人生は否定された一方で、僕のもやもやの正体を一部明かしてくれたのも事実です。自分の経験や知識があることによって、本書の指摘事項を関連付け、足りないことに意識が向いたのだと思います。そういう意味では、多少は本書を自分なりに”解釈”出来たのかもしれません。そして、これを大学生の時に読んでいたとしても読み流していただろう、とも感じました。当時の僕には経験や知識が足りず、解釈に及ばなかったと思われるからです。本は読む時期やタイミングによって得られるものが違って面白いと言われますが、正にそういう感覚でした。最後、読書感想文のようになってしまい恐縮ですが、本当に僕にとっては価値がある本でした。グライダー人間から飛行機人間(リベラルアーツ力が高い人間)に転換して、飛び立ちたいと思います!

この記事を読んで、少しでも参考になれば嬉しいです。

ほなまた。